近年、びわこ、千葉、熊本と立て続けに廃止、休止になり、今や500バンクは大宮、宇都宮、高知の3つだけになってしまった。
当然、選手が走る機会も少なく115&116期の新人のみならず、若手の中には「500は初めて」と言う選手がいるほどである。
そもそもバンクってなに?
バンクとは競輪場で競輪選手がレースを行うコンクリートやアスファルトで舗装された競争路のこと。
また競輪以外でも、室内自転車スポーツのトラック競技で使う競争路もバンクといいます。
バンクは1周300m~500mの円になっており、カーブでもスピードを落とさずに走れるようにカントと呼ばれる傾斜がつけられている。
500バンクの特徴
バンクは競輪場によって形や形状が異なってくるが、長さは333mバンク、400mバンク、500mバンクの3種類があるが、その中の500バンクの特徴について解説していく。
- 500mバンク
500バンクは3種類の中で1番長いバンクで、最後の直線も長い。
そのため先行の選手が空気抵抗を受けて逃げ続けることは難しく、後ろから追い上げて差し込む選手が勝ちやすいといわれている。
バンクによって、先行型か、あとから差し込みに行くかの有利不利が変わってくる。
また距離が同じバンクであっても、直線が長い場合やコーナーが長い場合など、競輪場によってコースの特徴が異なってくる。
500バンク攻略
大宮バンク・コースの特徴
見なし直線距離 | 66.7m |
センター部路面傾斜 | 26°16′40″ |
直線部路面傾斜 | 3°26′1″ |
ホーム幅員 | 10.3m |
バック幅員 | 9.3m |
センター幅員 | 7.5m |
大宮競輪場はコース周長は一周500m。
関東地方では宇都宮・千葉と並ぶ1周500mバンク。
年配のファンからは「大宮競馬場」と形容される程に直線が長く、追込選手に有利とされている。
対して、先行選手は総じて不利とされる。
大宮競輪場の決まり手
1着決まり手:【逃げ18%】・【擦り26%】・【差し56%】
2着決まり手:【逃げ12%】・【擦り15%】・【差し41%】・【マーク32%】
大宮競輪場 地元選手
S級1班 池田 勇人 選手 (90期)
S級1班 宿口 陽一選手 (91期)
S級1班 岡 光良選手 (94期)
ガールズ 野本 怜菜選手 (114期)
ガールズ 太田 りゆ選手 (112期)
宇都宮バンク・コースの特徴
見なし直線距離 | 63.3m |
センター部路面傾斜 | 25°47′44″ |
直線部路面傾斜 | 2°17′27″ |
ホーム幅員 | 10.3m |
バック幅員 | 11.3m |
センター幅員 | 8.3m |
宇都宮競輪場のバンクは、1周500メートル。
直線部がやや長くカーブのきつい扁平なバンク(角度は25度)。
先行選手に不利なだけでなく、追走する番手の選手すら後方から抜かれる「交わしの交わし」を食らうほど、後方からの追い込みが決まりやすい。
ただし、改築工事に伴いホーム側とバック側が入れ替わった際に、ゴール前のみなし直線が若干短くなり(67.9m→63.2m)いくらか先行選手が仕掛けやすくなった。
宇都宮競輪場の決まり手
1着決まり手:【逃げ22%】・【擦り31%】・【差し47%】
2着決まり手:【逃げ13%】・【擦り13%】・【差し37%】・【マーク37%】
主な開催レースとしては、
- 高松宮記念杯競輪 (GⅠ)
- 宇都宮ワンダーランドカップ(GⅢ)
宇都宮競輪場 地元選手
S級1班 神山 雄一郎選手 (61期)
S級1班 長島 大介選手 (96期)
S級1班 金子 幸央選手 (101期)
ガールズ 荒巻 聖未選手 (102期)
ガールズ 梶田 舞選手 (110期)
まとめ
「最終ホーム前からカマせば押し切れますか?」という質問に対して、「距離も直線も長いからやめた方がいいよ」と答えていたが、結局ホームからカマして4角で失速したケースもあった。
最近の若手にとっては、今や500は異分野になりつつある。
自転車競技が世界的に250で行われており、競輪自体もスピードアップしている流れもあるのだろう。
将来的に千葉は250に、熊本は400に生まれ変わるという。
競馬の世界で長距離戦や長距離血統の比重が減ってきているように、500の置かれた状況は楽観視できるものではない。
だが、500には500の良さがある。
展開が緩やかで最終バックまではラインで動くことが多いので、オールドファンにはなじみが深いし、レース自体が分かりやすい。
バンクが広く直線が長いので4角からでも多くの選手にもチャンスが残っている。
そして何より、追い込み選手がコーナーで無理して突っ込む必要がないので落車が少ない。
一瞬で車券が紙くずになる落車が少ないというのは大きな強みだろう。
500ならではの味や武器はまだまだある。
かつて、競馬の世界では障害レース廃止論が叫ばれたことがあったが、「文化」として残すという強い意志とスターホースの出現で、近年は再び注目を集めている。
500バンクも同様で、日本独自の「文化」として残していかなくてはならないと思う。
そしてぜひ「500の鬼」といった選手の出現にも期待したい。