寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント【GI】開催!
第28回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが昨年に続き前橋競輪場で開催される。
今大会は昨年覇者の脇本雄太を始めとするナショナルチームのメンバーが不在。
そのため混戦模様だが、その中でも平原康多が頭一つ抜け出しているだろう。
清水裕友、太田竜馬らの若手機動力型の充実ぶりを誇る中四国勢や中川誠一郎と山崎賢人のツートップによる九州勢もライン的には強力で、浅井康太率いる中部勢や郡司浩平率いる南関東勢の逆転一発も侮れないといた今大会となりそうである。
寬仁親王牌とは?
平成2年8月、アジアで初めて開催された「世界選手権自転車競技大会」を記念して、平成2年5月に行われた『世界選手権自転車競技日本大会特別記念レース』がルーツとなっている。
平成4年「世界選手権自転車競技大会」日本大会の名誉総裁をお務めになられた寬仁親王殿下(ともひとしんのうでんか)より”寬仁親王牌“が下賜されるとともに、それまでの1日開催から3日間開催のトーナメント戦となったため、『世界選手権記念トーナメント(寬仁親王牌争奪)』と名称を改め実施されたのが第1回である。
現在の『寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント』となったのは、第三回から名付けられた。
第10回目の開催で、『G1』の格付けとなった。
昨年優勝者! 脇本
第27回 寬仁親王牌世界選手権記念トーナメント
1着 脇本 雄太
2着 三谷 竜生
3着 平原 康多
注目選手:寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント【GI】
初日12R日本競輪選手会理事会長杯
関東が3名、近畿が3名、中部、中国、九州がそれぞれ1名ずつの組み合わせとなった。
昨年の理事長杯でも先行した南潤の主導権取りが濃厚。
展開的には、南に付ける義弘と博幸の村上兄弟が有利
横山尚則–平原康多–武田豊樹の関東3車の巻き返しは必至で、好位置を取って逆転を狙う清水裕友、浅井康太の一発も十分に可能性がある。
平原康多 87期(埼玉)
最終日特別優秀では、深谷知広がやはり捲りで10秒8をマークしており、現在の平原はナショナルチームに匹敵するスピード強化に成功したと言っていいだろう。
決勝では新田祐大とのもがき合いに敗れたが、踏み出しのスピードは素晴らしく、今大会でも前橋の超高速バンクでさらなる進化を遂げたスピードを見せつけてくれるはずである。
南潤 111期(和歌山)
昨年は先行するも番手に平原康多に入られて6着に沈んでいるが、もちろん今年も村上兄弟を連れて主導権取りを狙ってくるだろう。
昨年の寬仁親王牌では準決までの勝ち上がりとバンクとの相性もよく、今年も強力地脚を発揮して勝ち上がっていくだろう
清水裕友 105期(山口)
今年も日本選手権と高松宮記念杯で決勝進出、オールスターでは準決で先行して5着と敗れたがS班の名に恥じない活躍ぶりを見せており、飛躍のきっかけとなった寬仁親王牌で今年も大暴れしてくれるだろう。理事長杯は5着まで入れば2日目のローズカップに進めるので、南潤を叩いての先行策も十分にありそうだ。
浅井康太 90期(三重)
競輪競走のハイスピード化の流れにうまく乗り切れずに仕掛けのリズムがやや狂っている印象だが、昨年は柴崎淳の逃げを目標に準決を1着で通過と大会との相性もよく、うまく立て直しが図れれば勝ち上がりが期待できるだろう。
S級特別選抜予選2レース!
初日の特別選抜予選2個レースは2着までに入れば2日目のローズカップに進める厳しい勝ち上がりだが、渡邉一成、佐藤博紀、坂本貴史、新山響平と機動力型が揃った北日本勢が優勢だ。
木暮安由 92期(群馬)
蕗澤は7月にS級に上がったばかりだが、全プロの1kmタイムトライアルで3位となり寬仁親王牌の出場権を獲得した。
8月の小倉FIの予選で逃げ切ってS級初勝利を挙げており、今回も同県先輩の木暮との連係があれば主導権取りに燃えてくるだろう。
郡司浩平 99期(神奈川)
郡司浩平はオールスターでは長期欠場明けの出場だったが、オリオン賞は渡邉雄太との連係で4着、二次予選は松井宏佑との連係で3着、準決は郡司自ら動いて新山響平-渡邉一成の北日本コンビの3番手を取り切り、脇本雄太の捲りを不発に終わらせ、番手発進の渡邉一成も抜き去って1着で突破と強さを見せつけた。
今回も根田空史や和田真久留との連係から勝利を目指す。
三谷竜生 78期(福島)
三谷は近況の成績はやや物足りないところがありオールスターの準決も捲り不発の脇本雄太と共倒れになっているが、二次予選では南潤の先行を目標にしっかり1着を取っている。
今回も単騎戦になったとしても好位置を奪取しての一発が十分にあるだろう。
山崎賢人 111期(長崎)
昨年の寬仁親王牌ではやはり準決で先行して8着と敗れているが、残り3走で3勝と前橋バンクとの相性はよく今大会も決して軽視はできない。
前橋競輪場のバンク・コース特徴
見なし直線距離 | 46.7m |
センター部路面傾斜 | 36°0′0″ |
直線部路面傾斜 | 4°0′0″ |
ホーム幅員 | 9.9m |
バック幅員 | 9.9m |
センター幅員 | 9.9m |
前橋競輪場は、全国で唯一の一周335mのバンク。
反り立つ崖のように見えるほど日本一カントが急(角度は36°)で、コーナー頂上からの「山おろし」は桁違いの迫力とスピードがあり、ファンや選手からは超高速バンク、ルーレット等と呼ばれる。
とにかくスピードが乗るので選手には積極性が求められ、「前橋の車券を買う時は徹底先行のラインを買え、やる気のない選手は一銭も要らない」とかつて実況していた磯一郎が語るほど、先行選手有利でライン独占が多い。
屋内バンクのため、風の影響が皆無で選手の持つ力が存分に発揮されるが、追い風によるスピードアップの支えもなくなるので体力の消耗も激しい。
前橋競輪場の決まり手
1着決まり手:【逃げ24%】・【擦り27%】・【差し49%】
2着決まり手:【逃げ23%】・【擦り13%】・【差し24%】・【マーク40%】
まとめ-寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント【GI】
小回りバンクなので基本的には先手ライン有利とされているが、さすがにトップクラスの選手が集うGIでは基本どおりにはいかない。
昨年10月に開催された寬仁親王牌の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが2回、捲りが26回、差しが20回、2着は逃げが9回、捲りが13回、差しが12回、マークが14回となっている。
逃げ切りがわすが2回で、先手ラインの選手が1着になったのも15回しかなく、捲りのラインが断然有利だ。
昨年の大会では初日こそは先手ラインの選手が1着になったのが6回と先行選手が健闘、差しー逃げの決まり手が連続して出現していたが、2日目以降は完全な捲り天国になっている。
準決の3個レースも10Rこそは柴崎淳の先行に乗った浅井康太が1着だったが、11Rは脇本雄太がまくって1着、12Rも清水裕友が捲って1着でGI初優出を決めている。
ただ、一昨年に同じく前橋で開催された寬仁親王牌の準決では3個レースとも先手ラインの選手が1着になっており、開催年によって決まり手の出現率に変動が見られるので注意が必要である。
主要なレースをフルリプレイで記録してある。