4km速度競走という種目をご存知だろうか。
この種目を知っている方はかなりのトラック競技通か高体連出身選手の二択だろう。
私自身も実際に生で見たことはないが、知れば知るほどに興味深い内容のレースとなっている。
この種目は2015年までは国体でも行われていたが、2016年からはスクラッチと入れ替わってしまった。
現在では高体連の大会、それも夏の大会でしか開催されていない。
4km速度競走とは
4km速度競走(通称”4速”)とは日本だけで行われているトラック中距離種目である。
数名以上(概ね10名程度)の選手によって争われ、ゴール着順を争うスクラッチや獲得ポイント数を競うポイントレースとも異なる特殊なルールにて実施されている。
スタートはゴール線に横一列に並び、スターターの合図によって一斉に出走、即競技開始となる。スクラッチやポイントレースのようなローリングは無く、ゼロ発進のスタートから勝負が始まる。
先頭責任
4km速度競走には定められた本数をバンクのホームとバックで先頭通過しなくてはならないというルールがある。これは「先頭責任」と呼ばれるもので、本種目だけに存在する最大の特徴となっている。
400mバンクで9名出走であれば「先頭責任の本数はホームとバックで1本ずつ+どちらか1本の計3本」といった具合に必要となる先頭責任の本数は周長と出走人数によって変化する。
4速の最終順位の決定においては「先頭責任の完了の有無」が最優先される。
従って、ゴールで1着を取ったとしても先頭責任を完了していなければ、最終順位は先頭責任完了者より下となってしまう。
現在のオムニアム種目であるテンポレースと近いルールにも見えるが、速度競走の大きな特徴は「先頭責任の本数を争うわけではない」ところ。4速の場合は本数に関係なく先頭責任を完了した選手は同一の優先度で扱われ、その中で着順を争うこととなる。
また先頭責任を完了していない場合でも、ルールで指定された本数に近い数の先頭責任を持っている選手が順位決定の際に優位に扱われる。
独特な心理戦が繰り広げられているのがビシビシ伝わってくるルールである。
実際のレース映像は次の記事で紹介している。