バブル期復刻か!?
現在においても先入観のみで「公営競技はバブル期以降、右肩下がりで…」などという論説がアチラコチラに散見されるが、
実際の各公営競技の売り上げは、既に底打ちの兆しが出てきており、昨年度における売上実績においては競輪およびボートレースが前年度比でプラスの売上に移行し始めています。
競馬:売得金は2兆7950億830万4000円で、前年比101・7%。7年連続の増加だった。開催競馬場への入場者数も626万6912人で同101・5%と増加。
競艇:売得金は1兆3727億830万4000円で、前年比110・9%。6年連続の増加だった。
オートレース:売得金は704億4768万7200円で、前年比16・8%。6年ぶりに大台の700億円に到達した。
入場者数は136万446人で同93・6%と増加。
これら公営競技の好調を支えているのがネット投票の隆盛。
特に象徴的なのが競輪業界で始まっている「ミッドナイト競輪」と呼ばれるネット専用レースの存在であります。
ミッドナイト競輪とは、夜の9時から深夜0時までの間に出走が行われる競輪レースの事であり、ネット等を通じた動画配信のみで観客なし、かつ投票もインターネット販売のみというネットに特化したレースのこと。
実は、公営協議場の運営は、発券業務や観客の送迎、交通整理に要するコストが営業を圧迫している部分が多く、それらコスト要因を全て廃して開催を行うミッドナイト競輪の開催では黒字が出ます。
現在、競輪業界においては全国5場において昼間の観客有りのレースと、夜間の無観客レースを組み合わせて実施を行うことで各場の業績がプラスに転じており、この「深夜の無観客レース+ネット販売」という様式が業界における救世主になっているところ。
ミッドナイト競輪が熱い
小倉競輪場を皮切りに前橋、青森、高知、佐世保で開催されており、いずれもにぎわいを見せている。岡山県玉野市の玉野競輪場が6場目として新たに加わる。1月の11~13日にオープニング戦、24~26日に「大阪スポーツ杯」を実施し、2、3月にも2開催ずつ計6節が発表されている。玉野競輪場の描くミッドナイト戦略に迫った。
このように全国の潰れかけた公営競技場が現在、「深夜の無観客レース+ネット販売」の組み合わせで俄かに息を吹きかえしている。
ただ、大変申し訳ないのですが業界の外からこれら一連の動きを見ている私などからすれば、そもそも各競技場が昼間の観客有りのレースで大赤字を出しながら、夜間の無観客レースでそれを取り戻しているような状態ならば、こんなに全国津々浦々に公営競技場が存在している必要はなく、レースを各地方毎で1つの場に集約した上で、あとはネット配信を主とした営業に切り替えれば良いんじゃね?的な、ミッドナイトレースの採用で何とか廃業を免れようと必死な全国の競技場関係者の努力を台無しにする、身もフタもない発想がでてきてしまうワケである。
まとめ
観客なしのレースのみが稼ぎを出しているような状況下では「無観客のネットが稼ぐ→協議場は沢山要らない→廃業すれば?」という主張は当たり前の論理思考の結果として出て来るものであり、今のミッドナイトレースの興隆が「真の意味で」潰れかけた全国の競技場の救世主となっているのだろうかなぁ…などとも思っているところではある。
一方で、なんら良いニュースがなかったここ数十年の公営競技業界における暗黒期の状況と比べれば、ミッドナイトレースに一縷の望みが見えた現在の状況は公営競技業界にとっては良い状況なのでしょうねと考えているところ。
昨日の宝くじのインターネット販売と同様であるが、各賭博関連業種のオンライン展開というのはこれから暫く目を離せない状況にあると言える。