競輪豆知識:二段駆けは頭鉄板
通常、番組の編成をする場合、同地区の選手によって、
1 逃2 追3追
というラインを組ませたいため、自力先行型の選手は1つの地区で1人だけにするものなのだが、決勝などでダブついてしまうとこのような並びになることがある。
1 逃2 逃3追
1 逃2 追3追の場合、番手にいる2の選手がとる戦術は「ゴール線手前まで1に引っ張ってもらって、貯めていた脚でゴール直前に追い込んで差し切る」というものになるだろう。
一方で1 逃2 逃3追だった場合はどうだろう?
「ゴール線手前まで1に引っ張っていってもらいたいが、それより前で別線に捲られそうだ。ならば自分も自力の脚があるのだから、早めに1を捲ってしまおう」という戦術をとる可能性がある。
そのように先行選手が逃げていった上を番手選手が駆けていくことを「二段駆け」と言う。1を切り離して2が出て行くということで「二段ロケット」などとも言われる。
番手が捲るので「番手捲り」という戦術である。
なぜ2の頭で堅くなるのか、2は自力の脚がある
他の人を引っ張って、風を切って走るだけの脚がある。
それなのに番手で引っ張ってもらえるため、脚を温存することをできる。そこから捲りを放てるためとても強力なものとなる。
散々、駆け引きをしてから捲りを打つよりも遥かに強くなるののである。
いや、確かに2の頭は堅そうだが、鉄板なのか……。
1と2の並び順は基本的に1が後輩で2が先輩、もしくは競走得点が1<2となる。
そこで例えば1の選手が先行意欲がさほど高くなくて捲り型の選手だった場合、捲った上の二段駆けになるので捲りが不発なら番手から発進しても届かないことがあるんじゃないかと考えてしまう。
しかし、これは競輪。
ラインを組んだ選手たちは自分の勝利を目指すが、その前にラインの勝利を目指して走る。
チームの勝利があった上での、自分の勝利。
それが競輪。
なので1の選手は1 逃2 逃3追になった時点で「逃げて2を勝たせる」戦術を取りつつ、「脚がもてば自分も勝つ」という走りになるはずです。そうなれば早め早めに先行して周回することになり、別線が捲りにくるタイミングに合わせて番手発進ができるので、2の頭がかなり堅くなります。
さらに1の選手が実力的に自分の勝利はないとわかるような番組だった場合、2を勝たせるために死ぬ気で踏んで逃げる、いわゆる「死に駆け」をすることになるでしょう。自分は勝てなくてもいいからとにかく前に出ていることを目標に走りますから、そこから番手発進する2の頭は鉄板となるのです。
競輪で八百長と言われる自体を回避するルール
ただ、そこまでやると勝つ気のない1の走りは八百長じゃないかという指摘がお客さんから起きかねない。
そこで以下のルールが定められている。
「打鐘以前にスパートした選手が1着者より5秒以上離れてゴールした場合は失格」
過去には「6秒程度」という曖昧な規定だったのだが、2019年6月開催から改正されたルールにより「5秒以上」と明確に定められた。
要するにゴールより遥か前にタレて圧倒的最下位になるのがわかっていながら番手捲りのために死ぬ気で走る「死に駆け」をできないようにしたのである。
これによって「鉄板」の信頼度は多少落ちたが、それでもやはり「鉄板」レベルであることには変わりないだろう。
1の「S」回数が2ケタに近く、決まり手が「逃」>「捲」のツッパリ先行型で2の決まり手が「逃」<「捲」の捲り型だったら「ド鉄板」。
2のヒモは3で3着に1を抑えつつ、他のラインの先頭を走る選手を3着に入れて買えば、かなりの高確率で的中するはずです。このような番組があるかどうかを日々、チェックしてみましょう♪