競輪で失格になる条件を完全網羅
選手同士が当たって転倒したのに失格になったりならなかったり、何もしてないように見える選手が失格になったりすることがあると思う。
競輪はお金を賭ける競技ということもあって、非常に細かくルールが定められている。
その中の主な競技規則と判定基準を解説していく。
この知識を知る事によってレースをみる時に、ぬか喜びすることもなくなりきちんと展開を読み解くことができるだろう。
敢闘の義務:競輪失格事項
「選手は、暴走、過度のけん制などはしてはならず、勝利を得る意志をもって全力を尽くして競走しなければならない」
この規則での失格基準となるのは、暴走や過度のけん制で勝機を逸したと認められる場合や正当な理由なく競走を放棄したり、怠慢競走と認められる場合である。
すなわち……。
「勝とうと思って走っていない選手は失格!」となる。
過失走行の禁止
「選手は、過失走行により走行の安全に支障を及ぼすことがないよう、細心の注意を払って競走しなければならない」
この規則で失格基準となるのは、不注意走行によるふらつきなどで自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合である。
すなわち……。
「不注意が原因の落車や自転車の故障は失格!」となる。
内側追抜き等の禁止
「選手は、外帯線の内側を前走する選手に対し、内側への差込み及び内側からの追抜きを行ってはならない」
バンクの内側から順に緑の部分が「退避路」。
その次にある白線が「内圏線」。
次の白線が「外帯線」。
黄色い線が「イエロー・ライン」。
つまり「外帯線の内側を前走する」とは、2番目の白い線より内側を走っている選手ということになる。
この規則で失格基準となるのは、外帯線の内側(退避路を含む)を前走する選手の内側に差し込んだり、それが原因のふらつきなどで、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合。もしくはその選手を内側から追い抜いてしまった場合です。
すなわち……。
「2番目の白線よりも内側を走っている選手をさらに内側から抜こうとしたら失格!」となる。
外帯線内進入の禁止
「選手は、内圏線と外帯線の間を走行する選手と並走する場合は、外帯線の内側に入り、または他の選手と外帯線の内側に入らせてはならない」
この規則で失格基準となるのは、内圏線と外帯線の間を走行する選手と外帯線の間に自ら入るか、もしくは他の選手を入らせたことでふらつくなどして、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合である。
すなわち……。
「2本の白線内を走っている選手の外側から白線内に並んで入ってきたら失格!」となる。
押圧・押し上げ・押し合いの禁止
「選手は、身体または自転車の全部もしくは一部を用いる方法によって、他の選手を押圧し、もしくは押し上げ、または他の選手と押し合いを行ってはならない」
おそらく最も失格となるのがこれである。
この規則で失格基準となるのは、押圧、押し上げもしくは押し合いを行うか、それによるふらつきなどで、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合。
それによって他の選手の進路を変更させて急激に後退させたり、押し合いによって互いに後退してしまったりした場合も同様である。
また、同一選手に対して強い当たりを執拗にくり返したり、長い間継続したり(6秒程度以上)、内外線間の幅の4倍程度の押し上げを行ったり、外から押圧して外帯線の内側を前走する選手の内側に差し込んだりした場合も失格になる。
さらに、自ら内圏線を踏みきり、内側の選手を最終バック到達前なのに5秒程度以上押圧したり、最終バック到達後は3秒程度以上押圧したり、その幅が内外線間の幅の約2倍以上に至った場合も失格になる。
基準の数値を設定してあるものもあるが、“約”や“程度”と付けていることからして大まかなものである。
すなわち……。
「あまりにも強引な押圧・押し上げ・押し合いをしたら失格!」となる。
斜行・蛇行の禁止
「選手は、斜行または蛇行して、他の選手の競走を妨害し、または自らの走行の安全に支障を及ぼしてはならない」
この規則で失格基準となるのは、斜行や蛇行をしたり、それによってふらつくなどして、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合。それによって他の選手の進路を変更させて急激に後退させたり、押し合いによって互いに後退してしまったりした場合も同様となる。
また、外側への斜行を内外線間の幅の4倍程度の幅で急激かつ一方的に行ったり、イエロー・ラインを越えて他の選手の進路を著しく狭めたときも。
すなわち……。
「著しい斜行や蛇行で他の選手の邪魔をしたら失格!」
中割りの禁止
「選手は、先行して並走する選手との間に走行の安全に必要な相当の感覚を保持できる場合でなければ、その間に差し込み、またはその間を通って追い抜いてはならない」
この規則で失格基準となるのは、中割りをしたり、それによってふらつくなどして、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合です。
すなわち……。
「前で並走する選手の間を強引にこじ開けていったら失格!」
内圏線踏切りの禁止
「選手は、内圏線の内側に入って走行してはならない」
この失格もわりとよく見られる。
失格基準となるのは、最終周回のバック・ストレッチ・ライン到達前は6秒程度以上、到達後は4秒程度以上、内圏線を踏み切って継続して走行した場合も同様である。
また、内圏線を踏みきったまま、外側を走行する選手を追い抜いて決勝線に到達した場合も同様である。
すなわち……。
「1番目の白線内を長時間走ったり、白線内から外側の選手を抜いてゴールしたら失格!」
イエロー・ライン踏切りの禁止
「先頭走者は、△△から最終周回バック・ストレッチ・ラインの間において、イエロー・ラインの外側を走行してはならない(△△とは、競走路が1周500メートル及び400メートルの場合は『最終周回前々回のバック・ストレッチ・ライン』とし、1周335メートル及び333.3メートルの場合は『最終周回前々回に入るホーム・ストレッチ・ライン』とすること)」
この規則で失格基準となるのは、上記の区間にラインの外側を2秒程度以上継続して走行した場合です。
すなわち……。
「青板バック(33は青板ホーム)から最終バックまでの間、イエロー・ラインの外側を長時間走り続けると失格!」
先頭員早期追抜きの禁止
「競走選手は、先頭員が○○に到達するまでは、先頭員を追い抜いてはならない(○○とは、競走路が1周500メートルの場合は『最終周回前回のバック・ストレッチ・ライン』とし、1周400メートルの場合は『最終周回前回に入るホーム・ストレッチ・ライン』とし、1周が335メートル及び333.3メートルの場合は『最終周回前々回のバック・ストレッチ・ライン』とすること)」
すなわち……。
「500は打鐘、400は赤板、33は青板バックまでに先頭員を抜いたら失格!」
先頭員に対する妨害等の禁止
「競走選手は、誘導中または退避中の先頭員に対して、妨害行為または危険性の高い行為を行ってはならない」
この規則で失格基準となるのは、誘導中または退避中の先頭員に妨害行為もしくは危険性の高い行為を行ったり、それによってふらつくなどして、自ら落車したり、他の選手を落車させたり、自分や他の選手の自転車を故障させて、事後の競走に重大な支障が生じた場合。
その他、上記にあるような他の選手に対する禁止事項を先頭員に行った場合も同様である。
すなわち……。
「先頭員に対して妨害行為をしたら失格!」
周回誤認
選手が以下のいずれかに該当したときは、その選手は失格とする。
- 周回数を少なく誤認したことにより、他の選手に遅れて決勝線に到達したとき。
- 決勝線以外の線を決勝線と誤り、あたかも決勝線であるかのごとく自転車を投げるなどして、他の選手に遅れて決勝線に到達したとき。
- 周回数を多く誤認したことにより、他の選手に遅れて決勝線に到達したとき。
- 競走において、周回数を誤認して競走したとき」
すなわち……。
「周回数を間違えてまともなレースをしなかったら失格!」
これら全部を細かく覚える必要はないが、ざっくりと知っておくとレース中に「もしかしたら失格かも……」と思えるので、ぬか喜びは防げるだろう。
失格と書かれた一文だけでも頭に入っていれば大丈夫である。